G-Media 現場にフォーカス

こんなことやってます!映像制作部

熱狂のリオ!メダルラッシュに沸いた17日間

体操男子団体やバドミントン“タカマツ”ペアの大逆転金メダル、陸上男子400Mリレー感動の銀メダル、そして、卓球女子団体の涙の銅メダルなどなど。日本は今大会、金メダル12個を含む史上最多41個のメダルを獲得し大躍進を遂げた。地球の裏側で行われた17日間の激闘を、我々、G-Media映像制作部の社員も昼夜を問わず制作にあたった。

Gmedia こんなことやってます 持田裕和 岡本大

 
映像制作部 持田 裕和

サブデスクとして臨んだリオ五輪

 私自身4回目となった五輪制作。これまでロンドン五輪では現地での制作も経験してきた。今回のリオ五輪ではG-Media映像制作部として初めての「サブデスク」業務を担当。全国から東京に集まった総勢50名余の編集マンの制作をサポートし、経験の浅い若手に対しては世界最高峰のアスリートの競技を編集するとはどのようなことなのか、その心構えや技術を指導する役割も担った。
 日本中、そして放送センターが歓喜に包まれる瞬間は大会が始まってすぐにやってきた。日本時間8月7日午前10時すぎに始まった競泳男子400M個人メドレー決勝で萩野選手が金メダル第1号、そして瀬戸選手が銅メダルを獲得した。すぐに正午のNHKニュースではトップ項目で扱うことが決まった。3分30秒の映像を3人の編集マンで手分けして制作することになり、私にその指揮が任された。
 この時、編集チームに課せられた使命は、競技自体を描くことはもちろん、選手の声や表情、そして地元の喜びなど、さまざまな要素を盛り込みながら映像を通じて感動を日本中に伝えること。超一流の選手を描くには映像制作も超一流でなくては感動を伝えることはできないのだ。

 放送まで1時間。事前の打ち合わせでは萩野と瀬戸2人のライバル関係を描くはずだったが、できあがった映像には瀬戸選手のレースでの様子がほとんど出てこない。萩野選手の金メダル獲得の興奮に引っ張られた編集になっていたのだ。2人の競り合いを描くのが難しいレース展開だったとはいえ瀬戸選手は欠くことのできない要素だ。伝えるべきことは何か、もう一度考えて編集し直すように指示を出した。
 放送まで30分を切り全体のかたちが見えてきた。萩野選手はインタビューで「自分だけじゃここまで来られなかった。1人じゃ成しえなかった金メダル」と語っていた。レース直後に水中で喜び合い、インタビュー後にも抱き合った萩野と瀬戸。インタビューを生かすためには、2人の思いや距離感、息づかいが感じられるような映像を大切にしてほしい。選手が積み重ねてきたもの、背負っている背景をしっかり把握し、編集マンが独自の視点で映像の持つ意味を考えて、切り取り、伝えていかないと、視聴者には感動は伝わらない。このことを今大会を通して若い編集マンたちに繰り返し指導した。
 放送直前まで現地リオから送られる独自取材や表彰式の映像を盛り込んで、ぎりぎりまで映像のクオリティを高めていく。世界最高峰の舞台の裏には編集マンたちの戦いもあった。

新たな取り組み インターネット配信

 テレビの制作と並行して、今大会から始まった新たな取り組みにも挑戦した。インターネットへ向けての動画配信サービスだ。
 普段はNHKテレビのニュースを制作している編集チームが、競技の速報やダイジェストをインターネット独自コンテンツとして制作するこの取り組み。いつでもどこでも見られるよう長さはおよそ1分。スマートフォンの小さな画面で見ることも考え、見やすい字幕を付加するなどテレビとは違った工夫が求められた。
 放送枠にとらわれないインターネットの特性を生かそうと、私は「これがオリンピック」と題したコーナーを提案した。選手やコーチ・観客の喜怒哀楽・好珍プレーで構成し、テレビでは観られない現地のさまざまな表情をまとめたものだ。ナレーションなし、映像と現地の実況だけで勝負。編集マンの腕の見せどころだと、これまで培った映像編集のノウハウを生かして制作し好評を得た。


映像制作部 岡本 大

収録デスクとして臨んだリオ五輪

 五輪の感動を自らの腕とセンスで切り取る〔編集〕が花形の仕事ならば、〔収録〕はさしずめ「縁の下の力持ち」だろう。業務の目的はただ一つ。現地リオから送られる膨大な量の映像素材を東京ニュースセンターのビデオサーバーに確実に収録して編集セクションに引き渡すこと。急なスケジュール変更や回線の不調に対応し、システムにかかる負荷も監視しなければならない。何事もなくて当たり前。トラブルが発生すれば放送全体に及ぼす影響が果てしなく大きい。それが収録の業務だ。

 今回G-Media映像制作部からは私を含めて3名の社員がリオ五輪東京収録班に召集された。3名は通常、前橋・宇都宮・東京首都圏の各放送局でニュース番組を制作している編集マンだ。全員が過去に東京ニュースセンターの映像集配信でデスクとして勤務した経験を持つ。私たちはスポーツはもちろん政治や事件など、あらゆる映像素材を管理するノウハウを有している。

 今回の大会で私は開会式の前日から五輪特設スタジオに入り、システムの動作確認やモニタ環境の整備(収録の基本は映像・音声回線の監視!)を念入りに行った。また競技が始まるとモニタに映る日本人選手の活躍に一喜一憂しながらもそれによって発生する映像伝送量を冷静に見極め、現地からの収録依頼に対応した。その一方で余裕があれば生放送のカメラに映る何気ないスタジアムの夕暮れや聖火の炎など気になった映像もビデオサーバーに収録していった。こうしたショットは映像を編集するときに必要な「間」(ま)や「味わい」の役割を果たしてくれることがよくあるのだ。収録業務にあたりながらもそこにあるのは「編集マンの眼」である。

2020東京大会に向けて

 超一流の選手を描くには映像制作も超一流でなくては感動を伝えることはできない。
冒頭に報告した持田編集マンの言葉だ。
 リオ大会が終わり、開催国の放送局として迎える2020年東京大会。NHKの映像ニュースを支える私たちは、さらなる技術の向上や映像資料の蓄積など、それぞれが日々の現場で4年後を見据えた準備を始めている。そして、リオから本格的に始まった4K・8Kでの映像制作、インターネットメディアへの対応も迫られている。
 日々の業務に追われながらも、私たちの視線の先にはあるのは2020年東京大会だ。

(2016年11月)