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こんなことやってます!映像制作部

リオパラリンピック現地報告

障害者スポーツの最高峰“パラリンピック”。初めて南米で開催されたリオデジャネイロ大会には159の国と地域から過去最多の4,400人余の選手が参加した。トップアスリートたちが限界に挑み、歓喜と涙に包まれた熱い12日間を現地で見つめた映像制作の視点から報告する。

Gmedia こんなことやってます 我妻武明

 

 地球の裏側・リオデジャネイロに到着したのは、日本を発って35時間後のことだった。さっそく空港では着替えなど身の回りのものを詰め込んだスーツケースが届いていないトラブル。ジカ熱の流行や治安状況への懸念から、ホテルとIBCの往復以外の外出は禁止された。こんな状況の中、私の12日間の戦いは始まった。

時差12時間との戦い

 パラリンピック・ニュース編集の現地制作班にG-Media社員が派遣されたのは今大会が初めてのことだ。私はNHKの職員編集マンら7名とともに、映像を通してリオの熱戦を届ける重責を担った。
 現地制作班にとって最大の敵は日本との時差。正午のNHKニュースの放送時間は現地の深夜0時。この時間に向けて、決勝が終わった競技の映像が続々と編集室に到着する。陸上400Mの辻沙絵選手の銅メダル獲得では、まず中継映像で速報用の映像を作った後、放送までのわずかな時間で、本人のインタビュー・NHKの独自映像を盛り込んだ差し替え版を東京に送り込んだ。業務は連日深夜に及び、常にスピードが求められる緊張の絶えない現場だったが、スポーツニュースの編集マンとして、これまでアスリートたちが限界に挑む姿を見てきた私にとっては、選手とともに戦っているような毎日だった。

国枝選手と約束のメダル

 大会前のことし3月、私は日本車いすテニス界の第一人者・国枝慎吾選手を描くドキュメンタリー番組「超人たちのパラリンピック」を担当した。そのとき、収録に現れた彼と1つの約束を交わしていた。
「リオで金メダルを取ったら一緒に写真を撮ってください」
 シングルスでは史上初の3連覇がかかっていた国枝選手。しかし、けがで4月に手術し、回復が遅れた中で迎えた今大会だった。私は会場に向かい直接彼のプレーに注視した。国枝選手は3回戦までは順調に勝ち抜いたものの、得意のバックハンドの威力は戻っておらず、準々決勝で敗れ、3連覇の夢はかなわなかった。この大会までの道のりを見つめてきただけに私自身辛い思いだった。
 その2日後に行われたダブルス3位決定戦。執念のショットを決め国枝組は銅メダルを獲得した。試合後には「本当に苦しい1年だった。メダルが獲れて報われた。」と話していた。
 後日、インタビューのためスタジオを訪れた彼は私の首にメダルをかけ、一緒に写真を撮ってくれた。そして、悔しさを滲ませながらも、2020年への決意を語ってくれた。このことは今大会を通して忘れられない出来事になった。

2020東京大会に向けて

今大会で出た世界新記録は200以上。大会終盤、総集編の制作のため映像を見返してみると、そこには「障害者スポーツ」という枠には収まらない世界最高峰のアスリートの姿があった。観客たちは勝者にも敗者にも惜しみなく拍手を送り、純粋にスポーツとして楽しんでいた。
 選手たちの4年後に向けた挑戦はもう始まっている。これからも彼らを見つめ続け、2020年・東京で再び感動の映像を届けたい。

(2016年11月)