G-Media 現場にフォーカス

こんなことやってます!映像取材部

ファインダーから見つめたアメリカ

私は2013年1月から4年間アメリカのロサンゼルス支局に報道カメラマンとして駐在しました。海外駐在ならではの苦労や達成感を数多く味わいました。

 

 駐在して早速経験したのが、ボストンマラソンの爆弾テロ事件やサンフランシスコ空港でのアシアナ航空機墜落など、世界中に大きく報道された事件や事故の取材でした。現場を目にすると非常に緊張しましたが、自分が撮影した映像が世界に流れると思うと、「どんなものも撮り逃すまい」と緊張感を力に変えて向き合いました。その後も、白人警官による黒人男性射殺事件やマグニチュード8.2のチリ地震、パナマ文書事件など、数多くの大きなニュースを取材しました。
 

 一方でわくわくする取材もありました。ロサンゼルスのハリウッドはご存知のとおり、映画の街です。そのハリウッドで毎年開かれている映画祭の取材にも行きました。レッドカーペット前の撮影ポジションで待ち構えていると、リムジンカーが到着するたびに大スターが次々と現れ、歓声や拍手が沸きあがり、私もどんどん気分が高揚してきます。タキシードやロングドレスを身にまとった大スターが笑ったり手を振ったりしながら歩いてくるのを、手を伸ばせば握手できるほどの間近で撮影していると、「次の車から降りて来るのはどんなスターだろう」と時がたつのも忘れるほどでした。もうひとつ、ハリウッドで印象に残っているのが、10年ぶりの新作上映となったスターウォーズです。公開日が近づき、全米中がいかに沸いているのかを取材した私のリポートは、「おはよう日本」で放送されました。
 

 最も印象に残っているのは、2016年に行われたアメリカ大統領選挙です。若い人からお年寄りまでが、支持する候補のプラカードを掲げて声援や反対意見を大声で叫ぶという日本とは全く違う派手な選挙戦に、かつて無いほど興奮しました。そして最終局面の「トランプvsヒラリー」の一騎打ち当日、私は民主党と共和党の支持率が拮抗しているコロラド州デンバーの投票所で映像取材と速報中継を行いました。
 

 開票が始まり、予想を覆してトランプ候補の支持率がヒラリー候補の支持率を上回っていく様子を見ながら、この4年間で感じていたことを確信しました。それは、物事をはっきりと意見する‘強いアメリカ’を望む人が多い、ということでした。ですから「強いアメリカを取り戻す」というトランプ大統領が掲げる思想に共感した国民が、予想以上に多かったのだと思います。
 

 駐在最後の取材は2016年12月の安倍総理の真珠湾訪問でした。日本の総理大臣が戦後初めて真珠湾を慰霊訪問するという歴史的な瞬間を、アメリカ国民はどのような心境で迎えているのか、不安を抱えながら取材していると、インタビューに応えてくれた94歳の元米兵の男性が「襲撃を受け多くの友人を失ったが、もう過去のことだ。今では恨んではいない。日本という国が好きだよ」と私を優しくハグしてくれました。当事者の思いを直接聞くことができて、アメリカに駐在できて本当に良かったと思った瞬間でした。


 目の前で何が起きているのかを世界中の人々に伝える報道カメラマンという仕事に誇りを持って、私はアメリカ中を走り回ってきました。
 
そして、なによりも大切なことは、「真実を映像で伝えるんだ!」という“やる気”が大切だということを改めて感じました。アメリカでの貴重な経験を糧に、今後もカメラを抱えて駆け回りたいと思っています。

 

(2017年3月