G-Media 現場にフォーカス

こんなことやってます!字幕展開部

「ネット字幕」元年

動画配信サービス向けの字幕制作がスタートしました

字幕のことならお任せあれ!と挑んだ「ネット配信コンテンツの字幕」という新たな世界。大変さと楽しさが同居する制作風景をリポートします。

 

 字幕展開部は、NHKの生放送字幕のPD制作業務のほか、字幕制作のノウハウを活かした自主事業を担当しています。そんな私たちのもとに突如としてもたらされた「ネット字幕」の制作依頼。ストリーミング動画コンテンツの字幕を作ってほしいとのお話をいただいたのは2016年12月のことでした。ぜひやらせてください!と意気揚々お引き受けしたわけですが、いざ素材をお預かりしてみると、あれ?私たちの知っている「字幕」とちょっと違う…?
 

 私たちがこれまで携わってきたNHKの放送字幕は、いわゆる「人にやさしい放送」です。耳の不自由な方のためにテレビの音声を文字で見せるサービスですから、その理念は①正しく、②読みやすく。耳が不自由とひとくちに言っても、生まれつき聞こえない方もいれば、事故や病気による中途失聴、加齢による難聴など、放送字幕の利用者の背景は千差万別。より多くの方に不便なく利用してもらうため、さまざまな工夫を施しています。例えば、表示時間をなるべく長くしたり、話者ごとに色を変えたり。
 

 一方で今回の「ネット字幕」は、フォント色は白のみ、位置は中央下に固定、句読点は使わない、要約・省略は一切しない、カット変わりで字幕をこぼさない等々、放送字幕とは仕様が大きく異なります。なぜなら、ネットで配信される動画コンテンツというのは、テレビ以外にも、パソコン、タブレット、スマホなど、さまざまなデバイスでの試聴を想定しているため、それに対応した形になっているのです。カット変わりに気を配りつつ、作品の演出に沿った読みやすい字幕を目指して、試行錯誤を繰り返しながら制作。文字の間違いはないか、仕様書に反している部分はないか、目を皿にして試写を行い、なんとか最初の1本を納品することができました。その後も定期的に邦画やアニメなどの字幕制作の依頼をいただいております。
 

 現在、字幕グループでは、自主事業である LIVETEXT(リアルタイムのテキスト配信・イベント会場字幕)をはじめ、CS局の字幕制作など、「NHK以外から受託する字幕業務」が事業の柱の一つになりつつあります。各社のネット配信事業が本格的に進む中、いずれは“ネット単独番組の字幕”というジャンルも出てくるかもしれません。その時のためにも、字幕展開部では多様な字幕制作のノウハウを日々蓄積しています。

 

(2017年3月