「いい瞬間」をとらえたとき大きな達成感を覚えます

根立 真衣

スポーツ中継ディレクター

2017年入社
中央大学卒

「いい瞬間」をとらえたとき大きな達成感を覚えます

プロフィール
大学時代はスポーツ新聞部に所属し、プロを目指すアスリートを多数取材。スポーツを観る面白さ、伝えるだいご味を味わい、スポーツ中継ディレクターを志望。心掛けているのは、職場の大先輩に言われた「“めんどくさい”に負けない」こと。小さなことでも、その積み重ねが、自分の出来ることを増やしていくと感じる。

スポーツのおもしろさを ライブで伝える仕事です

スポーツ中継ディレクターは、スポーツ中継の演出家です。中継する試合の見どころは何なのか、どんな番組にしたいのかを事前に考え、アナウンサーやカメラマンなど多数のスタッフたちと何度も相談しながら、準備を進めます。試合を運営する人たちとの、放送席、カメラやマイクの位置交渉も事前に行う重要な仕事です。放送当日は、カメラからの映像や音声など、さまざまな要素を駆使して目の前の熱戦を視聴者へ届けます。CGやリプレイ映像、スコアや選手情報を画面に出すのもディレクターの仕事の中の1つです。

NHKグローバルメディサービスでは、オリンピックやFIFAワールドカップなどの国際的なビッグイベントから、高校野球などの学生スポーツまで、さまざまな大会の中継を手がけています。中継番組の制作を通じて、試合の状況だけでなく、競技のおもしろさや、アスリートのすごさ、スポーツの魅力を視聴者にライブで届けるのが、私たちの仕事です。

正直なところ、私も会社に入るまでディレクターの仕事がどういうものなのかよくわかっていませんでした。「番組を作る」「スポーツに関われる」という程度の感覚だったので、入社後、事前の準備や関係者との調整、細かい仕事がとても多いことを知り、「1つの番組を放送するのに、こんなに調整が必要なのか」と驚いたほどです。

「いい瞬間」がとれると ホッとします

競技中は、会場のそばにある中継車の中で、次に起こることを想像しながら、ほしい映像をカメラマンに伝えます。いい瞬間をとらえ、放送できるかは自分の腕次第。納得できるカットがとれたときはとてもうれしいのですが、思うようにいかないことの方が多いです。毎回、中継を終えると「無事に終わった」と安堵します。自分の判断で放送できたこと、いい瞬間を見逃さなかったときはほっとします。

今まで担当した番組で印象に強く残っているのは、東京オリンピック2020で担当した体操女子の映像です。種目別決勝ゆかでは、日本選手のメダル獲得が期待されていました。私は、他国の選手が演技をしていない時間は、日本選手の表情をなるべく映そうと思いました。「演技順を待つ緊張感、表彰台に入るかどうかの緊迫感を日本の視聴者に伝えたい」。オリンピックという大舞台で、初めて自分の判断でその映像が発信されたときは、今までで一番緊張しました。

入社以来担当している大相撲中継でも、印象に残っている映像があります。
とある場所の千秋楽の結びの取組で、勝てば優勝が決まる力士が負け、優勝決定戦に進むことに。土俵を降りて支度部屋に戻る力士の背中には、負けたときについた土俵の土がまだべっとりと残っていました。一瞬、私は「負け」て臨む決定戦と、背中の「土」の意味が重なったような気がして、思わず「背中の土!」と声を上げ、カメラマンもその背中の「土」をとらえてくれました。考える前に口に出した一言でしたが、結果的に「土がついた」力士の心情が表現できました。そういう場面では、悔しがっている顔を狙うこともありますが、表情以外でも感情を伝えることができることを実感しました。周りからも「よかった」と言ってもらえて、うれしかったですね。

スポーツ経験をいかせる仕事です

私は大学時代にスポーツ新聞部に所属していたこともあり、スポーツ観戦が好きなのですが、特別詳しいわけではありません。担当している大相撲も、最初は取組を見ても何が起こっているのかまったくわかりませんでした。その都度、アナウンサーや先輩たちに教えてもらいました。知識だけでなく、経験も大切です。中継を担当するときは、そのスポーツを基礎から学びますが、現場ではさまざまことが起こり、想定通りにはいかないことが多いです。できないことを責めるのではなく、まずは場数を踏んで、自分の経験=引き出しを増やしていくことが大事だと思います。私もまだ、その引き出しを増やしている最中です。

この仕事にスポーツの経験は必要ないのですが、スポーツ経験者は勝負の瞬間を察知する肌感覚が鋭いので、少しうらやましく思います。私はスポーツの経験がないので、担当する競技が決まったら、まずはその競技に詳しい人と事前に一緒に試合を観ます。競技の見方や勝負のポイントを教えてもらい、「ここだ!」という重要な場面をライブで判断できるように、準備しています。自分の担当以外のスポーツも同じような感覚で見て、重要な瞬間を判断するクセをつけるように心がけています。

「スポーツが好き」 その思いが大切です

日頃、中継番組を作るときときには、競技を面白く見てもらうのと同じくらい、番組が終わった後も興味を持ち続けてもらうためにはどうしたらいいか、競技前にどれだけ早く視聴者をひきつけられるかが悩みどころです。ディレクターの仕事は、よい放送をつくることだけではありません。ツイートの運用や、デジタルコンテンツへの導線づくりなど、放送以外のコンテンツづくりも仕事です。スポーツ自体が、「それぞれの競技に興味のある人が見る」という傾向が強いので、「興味のない人を引きつけるにはどうしたらいいか」という難題もあります。

とにかく課題は多いのですが、一緒に仕事を楽しんでくれる人が仲間になってくれるとうれしいですね。この仕事は、まずは「スポーツが好き」ということが大切。また、多くのスタッフと仕事をするので、人と話すことが好きな人も向いていると思います。


1日のスケジュール(大相撲中継の場合)

  • 10:00 出社(大相撲会場に直行)
    CGなどの演出チームと打合せ
  • 11:00 カメラマンなど技術チームと打合せ
  • 12:00 昼食
  • 13:00 アナウンサーや実況担当と打合せ
  • 14:00 CGやテロップの確認
  • 14:30 ツイッター文案の作成
  • 15:00 翌日の打ち合わせ資料作成
  • 15:30 中継車に移動/待機
  • 16:00 放送開始・中継のディレクション
  • 18:00 放送終了
    アナウンサーと翌日の打ち合わせ
  • 18:30 帰宅

小堀 剛

映像制作ディレクター

ニュース映像を届ける“最終走者”「伝えたい」という気持ちを大切にしています

金窪 夏生

字幕制作ディレクター

“音を字幕で表現しきる”仕事に使命を感じています

根立 真衣

スポーツ中継ディレクター

「いい瞬間」をとらえたとき大きな達成感を覚えます

渡邊 朱里

デジタルサイネージ・モバイル事業

時代はデジタルサイネージテレビとは違うやりがいがあります

餌取 慎吾

番組制作ディレクター

番組は自分ひとりでは作れません人と出会い、つながり、思いに耳を傾ける

丸岡 朋生

ニュース制作ディレクター

世界のニュースを体感できる仕事毎日とても刺激的です

籾山 智章

ニュースカメラマン

誰でも映像を撮れる時代だからこそ心に響く映像をめざしています

伊藤 紅衣

国際映像コーディネーター

“歴史的瞬間”に立ち会う感動日本にいながら世界に関われるのが魅力

田邊 幸

映像制作ディレクター

NHKコンテンツのワクワク・ドキドキをより多くの人に届けたい

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