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こんなことやってます!報道番組部

“アメリカ側”から戦争を見つめる

BS1スペシャル「なぜ日本は焼き尽くされたのか~米空軍幹部が語った”真相”~」

 夏の戦争特番として制作した番組が評価され、NHK放送総局長特賞とGメディア社長特賞を受賞することができました。その番組は、ただのイメージから始まったものでした。

「やってみなはれ」

 “なぜ、日本は焼け野原になったのか-”。
 今から73年前、第二次世界大戦末期、東京大空襲に始まる徹底した空爆によって、日本の66都市が焼き払われた。
 こうした問題意識から書き出すと、根っからの歴史好き or “意識高い系”の人だと勘違いされるかもしれませんが、全くそうではありません。もともと歴史の知識は、中学生の時がピークで、以降は後退の一途を辿っていました。
 冒頭の疑問が浮かんだきっかけは、別の番組取材で見つけた、ある資料でした。アメリカが戦時中に作成していた「日本空爆計画」。東京大空襲の1年半も前から周到で残虐な計画を練っていました。当時、アメリカは戦況で圧倒的優位に立っていたのに「なぜ、こんな非人道的な計画を練ったのか」「どのように作られたのか?」「なぜ、実行に移されたのか」。“無差別空襲”とも言える攻撃に至った過程が知りたくなったのです。ただ、私には知識も英語力も足りません。しかし、「意義がある」と上司に判断してもらえれば、物事は動き始めるのです。「アメリカ行ってこい。行かなきゃはじまらん。やってみなはれ」。ディレクターという仕事の特権は、まさにここにあると実感させられました。

AVNコーディネーター会議

肉声テープ(イメージ)

スペシャリストに支えられて

 意外にも、これまでアメリカ側の視点から空襲を掘り下げようとした番組はありませんでした。アメリカ側の視点にこだわって取材を深めたい。自分の足りない能力は、スペシャリストたちが補ってくれます。例えば、アメリカのリサーチやロケ。現地で20年以上にわたり取材を続けている方に協力を仰ぎました。焦点は「アメリカ空軍は、何を考えていたのか」。アメリカの公文書や空軍基地に残された機密資料などを調べていくうちに、当時の空軍幹部たちが残したオーラルヒストリーが見つかりました。アメリカ空軍士官学校に保管されていた肉声テープ。およそ250本。「なぜ、日本を徹底的に空爆したのか」米空軍幹部たちは、その内幕を赤裸々に語っていました。音声を聞き込み、自分が知りたかった疑問の答えを探す作業が始まりました。

第二次世界大戦航空ショー

興味を掘り下げることが仕事になる

 仕事の中で抱いた疑問を辿っていった結果、100分の番組になりました。戦争という極限状態は、人に狂気を植えつける。その本質の一端に触れた気がします。
 そのとき気になっていたことを掘り下げられる。ディレクターという職種のメリットを改めて強く実感する機会になりました。