G-Media 現場にフォーカス

こんなことやってます!スポーツ制作部

障害者スポーツ中継への新たな挑戦
 ~車いすバスケットボールの熱戦を生中継!~

2015年10月中旬、千葉ポートアリーナで行われたリオパラリンピック最終予選のもようを生放送。70人超の制作体制と会場に設けた特設スタジオを駆使して、これまでにない規模で障害者スポーツの中継制作を行った。来るパラリンピック放送へ向けて、見えたものとはー。

わかりやすさを目指した中継制作

シアター大画面に映し出された羽生選手と演技を終えた瞬間映像

 今回のプロジェクトは、全体構成を組み立てるスポーツ番組部、文化・福祉番組部の専門スタッフ、そして私たち中継班を加えた合同体制で始動。なじみの薄い競技をいかにわかりやすく、面白く伝えていくべきかをテーマに、異なる部署のメンバーが何度も集まっては議論を重ねて、放送にこぎつけた。

 本番では特設スタジオを使って競技の魅力をたっぷりと紹介。ゲストの広瀬アリスさんに車いすバスケを体験してもらうなど、視聴者と同じ目線でその奥深さを感じてもらう演出を試みた。競技の見方を丁寧に伝えたうえで試合中継へとつなげていき、わかりやすさにこだわった放送を目指した。

特殊なルールをどう伝えるか

 「車いすの格闘技」と言われるほど激しいぶつかりが魅力の競技だが、緻密な戦略が見え隠れするスポーツでもある。ルールは通常のバスケットボールとほぼ同じだが、“持ち点”と呼ばれる特殊なルールがある。この持ち点とは、各選手に障害の程度に応じて1.0から4.5まで点数が与えられているもので、持ち点が高いほど身体機能が高い。さらに、コート上の5人の持ち点の合計が14点以内という規則もある。身体機能の高い選手ばかりで戦うことは不可能となるのだが、これが各チームの戦略を左右するという醍醐味につながっている。

 この持ち点を理解してもらうため、中継では新たなグラフィックを導入。専門のスタッフがメンバー交代の度にコート上の5人を確認し、今どの程度の持ち点の選手が出ているのかがすぐにわかるようにしていった。数字の色を青・黄・赤の3種類にして、視覚的なわかりやすさにもこだわった。このグラフィックを繰り返し表示することで、持ち点の存在とその重要性をコメントも絡めながら放送していった。

カギを握った他部署との連携

制作過程のなかで苦労したのは、選手の障害をどのような表現で伝えるべきかという部分。コメントやグラフィックで普段から使っている表現も、障害者を持つ家族にとって好ましくない場合があることを知り、何が適切なのか行き詰まることが多々あった。

そこで大きな力を発揮したのが、文化・福祉番組部の精鋭たち。構成やコメント台本、グラフィックの細部に至るまで、障害者関係の番組を制作してきたノウハウを生かして適切な表現を見出してくれた。さらに、選手の詳しい特徴や持ち点の伝え方など、一線で活躍する選手を追い続けてきた実績から、より現場に近い意見を放送に反映することができた。こうして各部署がその専門性を生かし、リオパラリンピック出場決定の記念すべき試合を世に送り届けることができた。

今後はリオ、そして東京と障害者スポーツを放送する機会が格段に増えることが予想される。今回の番組を通して、障害の適切な表現や特有のルール紹介など、まだまだ検証が必要な部分が多くあることを感じた。そして、間近に迫っているパラリンピック放送の成功のためには、今回のような他部署との連携がカギを握るということを認識する機会となった。

(2015年11月)