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こんなことやってます!スポーツ制作部

「大相撲中継 幕内PDデビュー」

復活を賭け、秋場所の土俵に帰ってきた横綱 稀勢の里。
8場所連続休場を経て出場を決断した横綱の大きな分岐点となる場所で、初めて幕内PD(プログラムディレクター)を担当しました。デビュー当日の舞台裏をお伝えします。

 

秋場所 焦点は引退の危機が迫る横綱 稀勢の里

 場所前、世間の関心は一向に調子の上がらない横綱に集まりました。星が上がらなければ横綱の地位が危うくなる場所で、私が初めての幕内PDを担当したのは中盤戦が始まる六日目。引退への分岐点ともなる重要な日を担当することになりました。

六日目 組まれた取組は“結び”

 ここまでなんとか5連勝で序盤戦を乗り切った稀勢の里。苦戦した相撲をVTRで振り返り、危機を未だ乗り切れていないなかで中盤戦を迎えることを視聴者に印象付けようと考え、当日は不安げな顔をアップで撮りたいとカメラマンに伝えました。型も大事ですが、この日は伝統よりも表情を優先。スポーツ中継のPDとして「今起こっていること、そして起こりうることの想定」を意識しました。結びの相手は一発のある危険な力士、千代大龍。負ければ館内に座布団が飛び交い、引退へと向かいかねない重要な1日となります。

予感的中 稀勢の里の“負け”

 大関以下の取組が終わり、横綱戦。前日準備では、稀勢の里の負けを想定するのであれば、横綱が土俵に上る最初の取組からカット割が必要になってくると考えました。引退危機が訪れるほどの重要な負けは、他の横綱の安泰を伝える画作りでさらに際立つと考えたからです。取組相手との相性から、白鵬・鶴竜は危なげなく取組を終えると予想。当日も予想通りとなり、これまでの中継と取材で身につけた「相撲を見る目」がここで役立ちました。

こだわった稀勢の里の“顔”

 迎えた結びの大一番、千代大龍戦。懸賞41本がまわるなか、館内が大きく湧きます。稀勢の里の顔を、そして「この相手に負けるかも」と、千代大龍の顔も何度も撮りました。取組では得意の左を封じられ、土俵下まで転落。この時点で放送終了までの残り時間はわずか。スローVTRや放送告知なども頭によぎりますが、「引退までのカウントダウンが始まった」ことが大事だと判断、花道奥まで表情を撮り続け、VTRでも負けた直後の表情を出し、ラストカットは電光板で赤ランプの付いていない稀勢の里の名前にズームインして終了しました。

15日間のつながりを考えられる相撲PDに

 先輩PDからは「荒削りな部分もあったが、やりたいことの意志は感じた」との評価を頂きました。
 大変な状況であった秋場所での幕内担当を経験し充実感を感じた一方、今後は自らの担当日をどう演出するかだけでなく、15日間大相撲をどう面白く見せ続けられるかが大事になります。伝統を意識しつつも、若い人にも見てもらえるような提案を続け、大相撲中継をより進化させていきたいと思います。

(2018年10月)